「――つらかったね…」

呟くように、ひかるは言った。

「1人で苦しかったね…。

豪くんは、それを1人で耐えていたんだね…」

ひかるは豪の顔を覗き込むと、
「もう泣かないで」
と、言った。

「私も、一緒に借金を返すから」

そう言ったひかるに、豪は大きく目を見開いた。

「言ったじゃない、豪くんの役に立ちたいって。

だから、豪くんの役に立たせて。

私も一緒にその借金を返すから、もう1人で苦しまないで」

「でも…」

「豪くんを1人にさせたくないの…!

もうこれ以上、豪くんにつらい思いをして欲しくないの…!」

豪の頬を両手で挟み込むように包むと、ひかるは彼の唇に自分の唇を重ねた。