「職場に借金取りが押し掛けてきて、返済期限は過ぎているって言って暴れたんだ。

俺はもう少し待って欲しいと言って土下座して止めたんだけど、彼らに殴られて蹴られて…」

「…それで、傷だらけになってたんだ」

そう言ったひかるに、豪は首を縦に振ってうなずいた。

それから苦しそうに息を吐くと、
「また、仕事を辞めさせられるよ…」
と、呟くように言った。

「いつも、そうなんだ…。

職場に借金取りが押し掛けてきて暴れられて、そのせいで仕事をクビになって、借金取りから逃げ回って…」

豪は苦しそうに言うと、洟をすすった。

「――もう、嫌だ…」

それは苦しそうに、豪は言った。

「何で…何で悪いことをしていないのに、こんな苦しい思いをしないといけないんだよ…」

そう言った豪の目から、涙がこぼれ落ちた。