「私、言ったじゃない。

“何かあったら、いつでも私に頼っていいからね”って」

ひかるは豪をじっと見つめると、
「なのに…私って、そんなに頼りないかな?」
と、言った。

「私、豪くんの役に立ちたいの…。

豪くんが困っていたら手を差し伸べて、豪くんがお腹空いていたらご飯を作ってあげて…」

ひかるは豪の手に、自分の手を重ねた。

男らしい、大きな手だった。

豪は深呼吸をすると、ひかるから目をそらした。

目をそらされたことに、チクリ…とひかるの胸が痛んだ。

(私じゃ役に立たないのか…)

心の中でそう呟いたら、
「――借金取りに、追われているんだ」

呟くように豪が言って、話を切り出した。

「借金取り…?」

そう聞き返したひかるに、豪は首を縦に振ってうなずいた。