子供の頃から手先が器用でキラキラと光るものが好きだったと言うこともあり、よくガラスやビーズを使ったストラップやアクセサリーを作っていた。

今はさらに技術をみがいてストラップやアクセサリーの他にインテリアオブジェも作るようになり、店頭に並べて売りに出していた。

「あっ、そうだ。

お客さんはきてるかしら？」

ひかるは椅子から腰をあげると、工房を後にした。

廊下を通ってピンク色の暖簾をくぐって店先に顔を出すと、スーツ姿の１人の男がガラスのオブジェを眺めていた。

「あっ、伊崎さん」

ひかるが彼に向かって声をかけると、
「こんにちは、ひかるさん」

彼はかぶっていた帽子を取ると、ひかるに顔を向けてあいさつをした。