肌

そんなある日のことだった。

豪が引っ越してきてから、２ヶ月ぐらい経った日のことだったと思う。

その日、ひかるは祖母に頼まれて買い物をしていた。

シチューに使う牛乳を買い忘れてしまったから急きょ買いに行って欲しいと言うことだった。

スーパーマーケットで牛乳を買って自宅に帰ろうと通った小さな広場に、誰かがいることに気づいた。

「あっ、豪くん…」

豪だった。

彼は広場の隅に忘れ去られたように置いてあるベンチに座っていた。

こんな時間に、こんなところで何をしているのだろうか？

時間は後少しで７時になろうとしている。

ひかるは広場に足を踏み入れると、
「豪くん、何やってるのー？」

彼がいるベンチへと歩み寄った。

豪がひかるに気づいて視線を向けてきた。

「豪、くん…？」

その顔を見たひかるは、驚いた。