会議室には長テーブルや椅子、ホワイトボード等の設備がある。普段はミーティング用ということでただ向かい合わせにテーブルをくっつけただけの配置だが、今日は移動が必要らしい。私は小林さんとテーブルを動かしたり、普段使っていない予備の椅子を出したりした。


「ありがとう。助かった」


小林さんはおしまいにパソコンを運んできて、モニターに接続している。

悪いかな、と思いつつもまだ時間に余裕がありそうだったので、思い切って聞いてみることにした。


「小林さんの彼女さんて、本社の方なんですよね」


ぴたりと動かしていた手を止めた小林さんが、顔を上げる。驚いているようだったが、少しの沈黙の後、軽く頷いた。


「ーーそうだよ」

「どこで出会ったんですか?」


矢継ぎ早に聞いてしまったのは、純粋な興味から。少しの間関わらせてもらったが、この営業所は本社との接点があまり無いように感じられたからだ。

同期入社だとか、本社に行ったときに偶然出会ったとかーー。

昨日のプリンのおかげかすっかり吹っ切れた私は、ちゃっかり社内恋愛事情もリサーチしようと余計な詮索を始めた。村山さんにはうまく話しかけられないのに、不思議と小林さんにはすらすらと言葉が出てくる。


「ここで」