・・・・・
封詰めの作業は三人で協力し、無事午前中のうちに終えることができた。
それはやはり電話を終えた小林さんが見た目通り黙々と手伝ってくれたことが大きい。折り位置も角がきっちり合っていて、丁寧なのに仕事が早いことに驚いてしまった。
そして村山さんは……これも見た目通りと言えば見た目通り。時折私にちょっかいをかけながら作業を進めていったのだった。小林さんの小言を華麗にかわしながらという特技(?)を見せられて、苦笑してしまったほどだ。
時刻は正午になろうというところで、村山さんは私にこう提案してきたのだ。
『無事に封詰めが完了した祝杯をあげようよ』
ーー祝杯?
謎の誘いを受けた私は、外に出て村山さんの後を着いて歩く。何故素直に応じたかというと、小林さんも一緒に来てくれたからだ。さっきから私の意識は、隣を歩く小林さんに集中してしまっている。腕同士が触れそうになるほど距離が近くなったのは、これが初めてだった。
「立川さんは、どういう学部にいるの?」
「あっ、あの、経済学部です!」
「そう、いいね。うちの会社にぴったりだ」
「本当ですか?!」
弾む会話が楽しくて、つい力が入ってしまう。小林さんは寡黙そうな見た目に反して、こうして話しかけてくれる。常に周りを見ていて、気にかけてくれる優しい人だと思う。
ーー本当の〝格好いい人〟って、こういう人のことを言うんだろうな。
自分の学校にいる遊び盛りの男子学生はもっとこう……言い方が良くないかも知れないけれど、チャラチャラしている。私も含め、同年代の多くの人が社会に対してまだどこか斜に構えているように感じるので、小林さんがとてもとても大人に見えるのだ。
封詰めの作業は三人で協力し、無事午前中のうちに終えることができた。
それはやはり電話を終えた小林さんが見た目通り黙々と手伝ってくれたことが大きい。折り位置も角がきっちり合っていて、丁寧なのに仕事が早いことに驚いてしまった。
そして村山さんは……これも見た目通りと言えば見た目通り。時折私にちょっかいをかけながら作業を進めていったのだった。小林さんの小言を華麗にかわしながらという特技(?)を見せられて、苦笑してしまったほどだ。
時刻は正午になろうというところで、村山さんは私にこう提案してきたのだ。
『無事に封詰めが完了した祝杯をあげようよ』
ーー祝杯?
謎の誘いを受けた私は、外に出て村山さんの後を着いて歩く。何故素直に応じたかというと、小林さんも一緒に来てくれたからだ。さっきから私の意識は、隣を歩く小林さんに集中してしまっている。腕同士が触れそうになるほど距離が近くなったのは、これが初めてだった。
「立川さんは、どういう学部にいるの?」
「あっ、あの、経済学部です!」
「そう、いいね。うちの会社にぴったりだ」
「本当ですか?!」
弾む会話が楽しくて、つい力が入ってしまう。小林さんは寡黙そうな見た目に反して、こうして話しかけてくれる。常に周りを見ていて、気にかけてくれる優しい人だと思う。
ーー本当の〝格好いい人〟って、こういう人のことを言うんだろうな。
自分の学校にいる遊び盛りの男子学生はもっとこう……言い方が良くないかも知れないけれど、チャラチャラしている。私も含め、同年代の多くの人が社会に対してまだどこか斜に構えているように感じるので、小林さんがとてもとても大人に見えるのだ。



