「これは、奇跡としか言えません...。癌の腫瘍がなくなっています。」
「えっ.........................!」
隣でお母さんも呆然としている。
「う.....そ...。」
叫んでいるはずなのに、どこまでも広がっている空間に、声にならない叫びが溶け込んでいくようだった。
病院の診察室にいたはず...なのに、気づけば床も天井もなければ壁もなく、一面が真っ白に包まれていた。
空中に浮いているような感じがした。
すると、眩しい光がその空間いっぱいに広がっていく。
遠くから、私を呼ぶ声が聞こえた。
「瑠.......。........花!.......瑠花!! 」
「学校に遅刻するよ!」
瞼を開けばそこには毎朝見慣れている景色とお母さんの顔があった。
都合の良い夢だったのだ。
まだ夢と現実の区別がつかないまま、制服に着替え、パンをひとつ加えて家を飛び出した。