「瑠花さん、あなたの余命は...あと1年です…。」
重い言葉で医者が言った。
私は、癌の1種である白血病と診断された。
「えっ…。」
目の前が真っ暗になった。
心臓の鼓動が速くなるのがわかる。
(まだ生きたい…。
まだ、死にたくない…。
嫌だ…嫌だ……嫌だ………!)
お母さんは、ただただそばで泣いていた。
私は現実なのか夢なのかわからなくなった。
(え...。私、死んじゃうの.....?助かる方法はないの.....?)
そこからどうやって家に帰ったのかも覚えていない。
気がつくと、外は真っ暗になっていた。
泣き疲れ、家のベッドで寝ていたらしい。
キッチンからはいい匂いがした。
お父さんもお姉ちゃんも食卓についている。
「具合は...大丈夫か...?」
「うん...。」
お父さんの言葉はどこかたどたどしい。
私に気を使っているのだろう。
昨日まではにぎやかで笑顔が溢れていた食卓は、今では昨日までが嘘みたいに重い空気が流れていた。
スプーンとお皿がぶつかる音や、サラダを食べる音が響いていた。
「ごちそうさま。」
いつもならおかわりして食べるのに、今日は1番に食べ終わり、自分の部屋へとこもった。
暖房を付けると、暖かい空気が流れ込んでくる。
こんなふうに暖かく感じるのが幸せに思えてきた。
(死んじゃったら、何も感じることができないのかな...。)
私は明日の学校の準備をしてから、眠りについた。