五月雨・弐






紅葉がしおれる前に本に挟んだ。
携帯の充電をした。
そして、顔を覆った。

もう、良いじゃない
自分の世界に入ったって。

こうして廻っていくんでしょ?
私の未来は変わらない。
分かってるの。
このまま壊れる事もあるって。
でも、少しでも光が見えるから。
圭吾の体温が、助けてくれる。

“ピッ、ピッ……。”

メール、着信、発信履歴。
今ではほとんど圭吾の名前。
それだけで良い。
幸せだよ、それで。
だから、生きてられるから……。

傷は、前より減った。