「高橋」 「ん?」 「……あの時は、ありがとう」 彼は笑った。 柔らかく、温かく。 「なんだよ」と、少し驚いたように。 「一回じゃ、足りねーよ」 「……うん」 ごめんが、挨拶ならと思った。 じゃあ、ありがとうと言ったら良いのかなと。 そう思って口から出た。 「じゃあ、10000回、言う」 「はは、その位かね」 けど彼の温かさは時に、重い。 優しすぎるから、失うのが怖かった。