五月雨・弐










「この図式は難しいぞ~」
「ぶ~、ふざけんな~!」

皆につられて笑う。
暖かい雰囲気が消える。
耐えられるのかな、私。

眼をギュッと瞑ってから窓際を見る。
校庭を眺めている圭吾。
見るたびに言いにくくなる。
ちゃんと、信じてるのって
圭吾の事、信じてるのって。

本当に愛されてなかったら
これで終わってしまうから。

「…………」
「どうしたの?問題、呼ばれてるよ」
「え、本当!?」

“ガタッ”

言うとしたらいつ言えば良いのか。
今言っても気まずい時間が延びる。
でも、直前に言ったら……?

『俺の事、信じてないんだ』
『何で早く言わねえんだよ……!?』

そんな別れは、辛い。
耐えられるとは思えない。

「おい、谷口。解けたんか?」
「…………」
「谷口~?」

“パキッ”

どうにもならないけど
でも、どうにかしなきゃいけない。

そんなの、耐えられる?