五月雨・弐










屋上に吹く風が
強い音を出してから消えた。

「嘘?」
「……親が勝手に決めたの。」
「中高一貫だよ、ここ。」
「あたしの言うことは無視だから。」

流れる沈黙の所為で
涙が零れそうだった。
だって、予想以上に
高橋が悲しい眼をしていたから。

私だって、泣いてしまいそうで
私だって、逃げたくって
でも言えなかった。

弱いところを高橋に見せたら
圭吾を裏切ることだと思った。

「……何だよそれ。」
「思い通りになる人形だから。」
「そんなの、変だよ。」

眉をしかめていた。
高橋は一粒だけ涙を出した。

圭吾が頭に過ぎった。
これって、裏切りかな。
でも、もう会わないかもしれない。
二人で遊びに行く事も、何も。
きっと私は、遠い所に送られる。

誰も知らない、遠い世界に。

「泣いてもらえるなんて思ってなかった。でも、もう決まっちゃったからさ!……まだ子供だし、親が絶対だから。」

そう、笑う以外何をするのだろう?
この少しの間を、笑わないで泣くの?
それこそ、あっちゃいけない。

私には、泣いてくれる人がいるんだから。

「……ありがと。」
「……遊びに来てな?」
「まだ、先のことだよ。」
「……だな。」

ちょっと笑った高橋の笑顔が
私の力になってくれた。