五月雨・弐







“♪♪♪”

携帯が鳴る。
思ったより大きな音でビックリ。

「…………。」

“カチャッ。ピッ。”

「もしもし?圭吾?」
『おう。』
「どうかした?」

少し早口で話してるのに気付く。
やだな、感じ悪いよね。

「何かあった?」
『……声、聞きたくなっただけ。』
「……ふ~ん。そう。アタシも。」
『おう。』

ぎこちない雰囲気。
アタシのせい、だよね……。

「ごめん、疲れてて。」
『勉強?』
「うん。理科やってる。」
『ああ、真野のでしょ。俺もさっきやってた。つか、もう飽きてやめちゃったけど。』

何か嬉しくて笑った。
理解してくれるだろうか、この嬉しさ。
誰かに知ってもらいたい。
綺麗な未来を待ってる。

「……じゃあ、ね。」
『またな。』

“プッ、プープープー。”

「…………。」

明るいのに、部屋が暗く見えた。