五月雨・弐






“カチャカチャ……。”

ご飯の時間。
テレビが付いてるのは、珍しいのだろうか。
私とおばあちゃんは眼を合わさない。
言葉も発しない。
ただ、食材に向けてのいただきますとか
そういうのぐらいがやっとだった。

自分を傷付ける人には、とことんこうする。
何故かその癖が付いていた。

「…………。」

“100㌔マラソン、近日公開!!”
“愛と死へのロマン、第二話。”

お得意の売り文句。
私にもそういうのがあったら、多少は輝いて見えるのだろうか……。
いつだってくすんでるのは嫌だ。
せめて圭吾と一緒のときは……。

「……晃は遅いわね。」

おばあちゃんが言ったのはお父さん。
おばあちゃんは親バカなのかお父さんの話ばかりしてくる。
晃はいつも凄い。
晃に比べてあの嫁は……。

どれもこれも気に食わない。
どうして文句しか言えないの?
ムカつく
ムカつくよ……!!

“カチャン。”

「ごちそうさま。」
「…………。」

おばあちゃんは睨んでくる。
その視線には、もう乗らない。
慣れてしまったから、怖くもない。