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あったと言う間に、瀬良先生と付き合って二ヶ月が経ち夏がやってきた。
周りの人にバレることもなく、幸せな日々を過ごしていたんだけどーーー
「えっ?まだ瀬良とキスしかしてないの!?」
この杏里の一言で、私は一気に不安な気持ちになっていった。
当然、杏里と牧野くんには、瀬良先生と付き合う事になった時点で報告はしてある。
この二人は信用できるから。
瀬良先生にも承諾済み。
それで、今日は「私には聞く権利がある」なんて言い出した杏里に、お昼休みの非常階段で色んな質問をされて、今に至る。
キスって言っても、あの日、保健室で瀬良先生と両想いになった日にした一回だけ。
よく抱きしめてはくれるけど、それ以上、瀬良先生は手を出してこない。
「それって…おかしい、かな?」
もしかして私って…魅力が無い…?
色気というものが全くないのかも知れない。
だから、瀬良先生は手を出してこないのかな。
そもそも、「好き」とは言われたけど「付き合って」とは言われてない。
お家デートはしたけど……。
私たちって…付き合ってるんだよね?
「うーん…、普通は好きだったら、その人に触れたいって、もっと仲良くなりたいって思うよね?」
胸の前で腕を組みながら、杏里が「理解出来ない」とでも言いたそうな顔をしている。
「そう、だよね…」
しょぼんと元気を無くした私を見て、「大切にされてるってことだよ」と杏里が励ましてくれた。
でも、私の心は霧がかかったようにスッキリとしないままだった。
そんな気持ちのまま数日が経ったある日、私は保健室でたまたま瀬良先生と二人っきりになった。
いつまでも、こんなモヤモヤとした気持ちのままでいるなんて嫌だ。
瀬良先生が私のことをどう思っているのかを知りたい。
私たちの関係性をはっきりさせたい。
私は大きく深呼吸をしてから、勇気を出して瀬良先生に聞いてみる。
「…私って先生にとって何?」
「生徒だろ」
瀬良先生は私に背中を向け、薬品棚の整理をしながら答えた。
「…そっか、わかった」
やっぱりそうか…
付き合おうとか言われたわけじゃないもんね…
私だけが瀬良先生の恋人気分だったんだ。
私が零れそうな涙を我慢しながらドアに手を掛けると、後ろから大きな手が私の手に重なった。
「お前、どうした?」
後ろから聞こえてくる瀬良先生の低い声…
「瀬良先生はなんで…キス以上の事はしてくれないの?」
私のこと好きじゃないから触れないの?
我慢していた涙が溢れ出す。
先生がハァ…と溜息をつき、ドアの鍵をカチャッとロックした。
ーーーっ//////
突然、瀬良先生が私を軽々と肩に持ち上げる。
「いやっ、降ろして」
「嫌だね」
そう言った瀬良先生は、シャッと勢いよくカーテンを開け私をベッドへ放り投げた。
あっという間に押し倒され、身動きのとれない状態になる。
私の視界には天井と…先生の綺麗な顔。
「お前、俺がどんだけ我慢してるかわかってねぇな」
緩められたネクタイの下からシトラスな香りと鍛えられた先生の身体…
優しく甘いキスを何度も落とされ、私の心は満たされていく。
「…ん、はぁ」
無意識に甘い声がもれてしまった。
「ヤバ…」
瀬良先生はそう言ったかと思うと、サッとベッドから降り、ネクタイを締めなおし白衣を正した。
「…瀬良、先生?」
「あんま、俺を挑発するな」
「へ?」
挑発って?私が?いつ?
…意味がわからない。
ベッドに座り直した私が首を傾げていると、瀬良先生が振り返り、こっちへ近づいてきた。
そして、ベッドに両手をつき私を閉じ込めると、突然、私の耳朶を甘噛みし、
「いつもお前を狙ってるってこと」
と妖艶な瞳で私を見つめながら、ペロリと唇を舐めて言った。
私は、その瀬良先生の色気にやられ、身体中が熱くなる。
「バーカ、そんな目で見んなよ。マジで襲っちまうぞ」
ペチンッといつもの様にデコピンをした瀬良先生。
でも、私はいつもの様に冗談にして欲しくなくて…
もっと、瀬良先生と深い絆が欲しくて…
「 …瀬良先生なら、いいよ」
とても大胆な言葉が自然とこぼれた。
瀬良先生は目を大きく見開いたかと思うと、とても大きな溜め息をつく。
…私、瀬良先生に呆れられちゃったかな?
はしたない女だと思われたかな?
もしかして、嫌われてしまったのかな?
私が色んな事を考え泣きそうになっていると、ふわっと暖かいものに優しく包まれた。
気がつけば瀬良先生に抱きしめられていて…
「だから、煽るなって。お前は十分過ぎるほど魅力的なんだからよ///」
「…え?」
「一度しか言わねーから、よく聞けよ」
瀬良先生が私の目をじっと見つめて言った。
「お前のこと、大切にしたいんだ///」
この日、初めて瀬良先生の本当の気持ちを知ったんだ。
あったと言う間に、瀬良先生と付き合って二ヶ月が経ち夏がやってきた。
周りの人にバレることもなく、幸せな日々を過ごしていたんだけどーーー
「えっ?まだ瀬良とキスしかしてないの!?」
この杏里の一言で、私は一気に不安な気持ちになっていった。
当然、杏里と牧野くんには、瀬良先生と付き合う事になった時点で報告はしてある。
この二人は信用できるから。
瀬良先生にも承諾済み。
それで、今日は「私には聞く権利がある」なんて言い出した杏里に、お昼休みの非常階段で色んな質問をされて、今に至る。
キスって言っても、あの日、保健室で瀬良先生と両想いになった日にした一回だけ。
よく抱きしめてはくれるけど、それ以上、瀬良先生は手を出してこない。
「それって…おかしい、かな?」
もしかして私って…魅力が無い…?
色気というものが全くないのかも知れない。
だから、瀬良先生は手を出してこないのかな。
そもそも、「好き」とは言われたけど「付き合って」とは言われてない。
お家デートはしたけど……。
私たちって…付き合ってるんだよね?
「うーん…、普通は好きだったら、その人に触れたいって、もっと仲良くなりたいって思うよね?」
胸の前で腕を組みながら、杏里が「理解出来ない」とでも言いたそうな顔をしている。
「そう、だよね…」
しょぼんと元気を無くした私を見て、「大切にされてるってことだよ」と杏里が励ましてくれた。
でも、私の心は霧がかかったようにスッキリとしないままだった。
そんな気持ちのまま数日が経ったある日、私は保健室でたまたま瀬良先生と二人っきりになった。
いつまでも、こんなモヤモヤとした気持ちのままでいるなんて嫌だ。
瀬良先生が私のことをどう思っているのかを知りたい。
私たちの関係性をはっきりさせたい。
私は大きく深呼吸をしてから、勇気を出して瀬良先生に聞いてみる。
「…私って先生にとって何?」
「生徒だろ」
瀬良先生は私に背中を向け、薬品棚の整理をしながら答えた。
「…そっか、わかった」
やっぱりそうか…
付き合おうとか言われたわけじゃないもんね…
私だけが瀬良先生の恋人気分だったんだ。
私が零れそうな涙を我慢しながらドアに手を掛けると、後ろから大きな手が私の手に重なった。
「お前、どうした?」
後ろから聞こえてくる瀬良先生の低い声…
「瀬良先生はなんで…キス以上の事はしてくれないの?」
私のこと好きじゃないから触れないの?
我慢していた涙が溢れ出す。
先生がハァ…と溜息をつき、ドアの鍵をカチャッとロックした。
ーーーっ//////
突然、瀬良先生が私を軽々と肩に持ち上げる。
「いやっ、降ろして」
「嫌だね」
そう言った瀬良先生は、シャッと勢いよくカーテンを開け私をベッドへ放り投げた。
あっという間に押し倒され、身動きのとれない状態になる。
私の視界には天井と…先生の綺麗な顔。
「お前、俺がどんだけ我慢してるかわかってねぇな」
緩められたネクタイの下からシトラスな香りと鍛えられた先生の身体…
優しく甘いキスを何度も落とされ、私の心は満たされていく。
「…ん、はぁ」
無意識に甘い声がもれてしまった。
「ヤバ…」
瀬良先生はそう言ったかと思うと、サッとベッドから降り、ネクタイを締めなおし白衣を正した。
「…瀬良、先生?」
「あんま、俺を挑発するな」
「へ?」
挑発って?私が?いつ?
…意味がわからない。
ベッドに座り直した私が首を傾げていると、瀬良先生が振り返り、こっちへ近づいてきた。
そして、ベッドに両手をつき私を閉じ込めると、突然、私の耳朶を甘噛みし、
「いつもお前を狙ってるってこと」
と妖艶な瞳で私を見つめながら、ペロリと唇を舐めて言った。
私は、その瀬良先生の色気にやられ、身体中が熱くなる。
「バーカ、そんな目で見んなよ。マジで襲っちまうぞ」
ペチンッといつもの様にデコピンをした瀬良先生。
でも、私はいつもの様に冗談にして欲しくなくて…
もっと、瀬良先生と深い絆が欲しくて…
「 …瀬良先生なら、いいよ」
とても大胆な言葉が自然とこぼれた。
瀬良先生は目を大きく見開いたかと思うと、とても大きな溜め息をつく。
…私、瀬良先生に呆れられちゃったかな?
はしたない女だと思われたかな?
もしかして、嫌われてしまったのかな?
私が色んな事を考え泣きそうになっていると、ふわっと暖かいものに優しく包まれた。
気がつけば瀬良先生に抱きしめられていて…
「だから、煽るなって。お前は十分過ぎるほど魅力的なんだからよ///」
「…え?」
「一度しか言わねーから、よく聞けよ」
瀬良先生が私の目をじっと見つめて言った。
「お前のこと、大切にしたいんだ///」
この日、初めて瀬良先生の本当の気持ちを知ったんだ。