「明日の塾のテストって何だっけ?」
「あ?一次関数のとこだろ。」
「山下は口が悪いから成績がよくないんだよ。」
「あ?口と成績は関係ないだろうが。だいたい、俺の成績はいつも上位五位以内だ!」
「まぁまぁまぁ。一旦落ち着こう?ね?」
私、高山(タカヤマ)碧(アオイ)は二人をなだめようとした。二人のうち、口が悪い方が山下(ヤマシタ)菊(キク)。名前と見た目は大人しそうなのに、とにかく口が悪い。根は優しいのにもったいない。もう一人は七鬼(ナナキ)清明(セイメイ)。七鬼君は、平安時代から続く神社を代々支えている神主の息子だ。そのせいか、人ならざるものは見えないが気配を感じることができるらしい。
 一見、接点などないように見える私たちだが、あるひょんなことで繋がりをもった。それは今年。入塾1日目のことだった。私は座席表を確認し、前から三番目の三人席の真ん中の席に座った。そして、私の右隣には七鬼君が左隣には山下君が座っていた。授業が始まって数分後。いきなり二人が席を立って私を挟んで喧嘩をし始めたのだ。(後から聞いた話だが、ただ単に二人で目が合い、腹が立ったからだとか。)もちろん、先生は怒ろうとしたがその前に私が怒ってしまったのだ。そんな回想をしている間も、二人は喧嘩をしていたらしく今も睨み合っている。私は、そろそろ二人を無理矢理連れ帰ろうとしたその時、七鬼君が何かに弾かれたように振り返った。
「君は何者だ?」
「え?」
そこには、私たちと同い年くらいの少女がいた。