いきなり止まった私を見て、寺内は私に声をかける。
「おい、どうした……?」
さっきまで忘れていた感情が、また思い出される。
………数十メートル先で、入坂と伶奈はいた。
2人で笑い合いながら、UFOキャッチャーをしていた。
操作しているのが入坂で、見ているのが伶奈。
2人はびっくりするほど美男美女で、お似合いで……。
入坂はUFOキャッチャーの商品が取れたようで、かがんで商品を取った。
ぬいぐるみだった。
それを伶奈に差し出して、伶奈はありがとうと笑顔で言っていた。
ゲームセンターなのに、うるさいはずなのに。
雑音とか一切何も耳に入ってこなくて。
あぁ、2人は付き合っているんだなと再確認すると、どうしようもなく胸が苦しくなる。



