それは周りだけじゃなくて、私もさっきの寺内の笑顔には正直ドキッとした。
いや、だって……ギャップが……!!
それにしてもこんな一瞬で周りの態度の変わりよう。
「寺内くんが……笑った……。」
美優ちゃんも驚いていて、伶奈に至っては固まって何も喋らない。
「チョロいな。」
今度はニヤリと悪そうに笑う寺内。
え、まって。
さっきのって作り笑い!?
「さっきのって作り笑い?」
思わず聞いてしまう私。
「当たり前じゃん。そうでもしないとお前が悪く言われるだろ?
あ、でもデートの話は本当な。」
今度は微笑んだ。
あ、多分今のは本当に笑ってる、たまに見る微笑みだ。
「無理とは言わせないからな。」
……どうやら私に拒否権はないようです。
でもこれくらい強引な方が、私も心が軽くなる。
じゃないと私は断ってると思う。
デートの誘いも、さっきの告白も……。
そう考える私は本当にずるいな。
もしかしたら私は入坂以上に最低なのかもしれない。
いや、最低だ、誰よりも……。



