私は事あるごとに柚に報告してた。

嬉しいことがあると誰かに話したくなるのだ。

柚は「はいはい」って面倒くさそうにしながらもいつも聞いてくれてた。



「今日は会えるかな~」


「最近そればっかりだよね、月華」

やれやれ、と柚が呆れてる。


「だって楽しみなんだもーん」


「そうですか...」



塾に行くと、今日も会えた。


やった!今日は隣の席だ!

相変わらずじっとこっちを見てくるが、あえてそれは聞かないでおく。


先生にわからなかった所を教えてもらっていると、
「そんな問題もわからんの~」って。

拓海の方を見ると、ニヤニヤしてる。

バカにするなー!って言いたいとこだけど、実際拓海は私より少し賢い。

ちょっとだけね、ちょっとだけ。


「桐山は問題解き終わったのか?!」

「終わってません」

「なら、口動かす前に手を動かしなさい手を!」

「はーい」


そうだそうだ!と言わんばかりの顔をして私は拓海を笑う。




授業が終わったので帰ろうとすると、前から歩いてきた拓海に突然デコピンをされた。


その時私の後ろにいた先生に、
「今のは痛かったでしょー」って庇ってもらった。

なぜデコピンされたのかは謎だけど、なんだか嬉しかった。


あ、私Mじゃないからね?!



今日も楽しかった!次はいつ会えるんだろう!

いつ会えるかわからないから、会えた時はほんとに嬉しい。