意地悪な集団

私は、軽く笑いながら言った。

「椿、先生に向かってその態度はないだろ」
「分かってます。たまたまそう見えただけですよ」
「なら、いいんだが・・・」
「失礼します！行こうかっ」
みんな頷いてまた列へと並んだ。

「あっ、次アイツじゃん」
末明が耳打ちをした。
「え？あぁ！本当だー。ってか８段跳べるんだぁって感じじゃね？」
「確かに！これは、見逃すわけにはいかないね」
「もちろんっ」

小さい声で会話をしているとき、晴香が走り始めた。
「え、すごいスピードじゃん！助走にしては、早すぎるんじゃない？」
「あれじゃぁ、跳び箱に衝突しちゃうって！」

クスクス笑いながら、跳び箱のほうを向くと晴香がもう少しで跳ぶところだった。
晴香が跳び箱を越えようとするとき・・・

ドーン―
体育館中に大きい音が鳴り響いた。
その瞬間、クラスの全員の目線が晴香の方へ。
体育館中が一気に静まった。
この音はまさに、晴香が跳び箱から落ちた音だった。

「え、ちょっと大丈夫？」
隣で恵里奈が呟いた。
「あそこまで、あーなるとは思わなかったよ」
私も続いて言った。

「晴香、大丈夫か！」
末明が跳び箱から落ちた時と同様に鎌田が晴香のほうへ走っている。

「・・・血出てるじゃないか。保健室に行かないとマズイぞ」
「聞いた？血出てるんだって！相当、響いたもんね」
七海が８段の列の方へ駆け寄ってきた。