意地悪な集団

「気をつけ、礼」
日直の号令がかかって、礼をすると私たちは一斉に立ち上がった。

「朱莉、行こっ。あ、結衣たちもー」
教室を出ようとする私と朱莉に向かって後ろから晴香が話しかけてきた。
もちろん、答えようとしない。
本気で誰が答えるか、というような感じだった。

「ねぇ、結衣ー。ちょっとこれはレベルアップしてかないと・・・」
「あ、言わなくても分かってる！だって、もうすでにそのつもりだし」
「だよねー」
朱莉は私の意見に賛成の言葉をかける途中、鋭く晴香を睨んだ。
晴香はだいたい気づいたらしく、その場に立ち尽くしていた。

「ねぇ、早く行こう！着替える時間なくなっちゃうし！」
「そうだね、結衣、行こう！誰かさんのおかげで急いで着替えないといけなくなっちゃったね」
「ほんとだよ！でも所詮、バカだからね、仕方ないっしょ」
「まぁねー」
私と朱莉は、笑いながら体育館へと走った。

体育館の入り口の大きいドアを開けて体育館に入った。
するともう、数人の生徒が準備体操をしていた。
「早すぎだろ！まだ着替えてないし・・・急げぇー」
急いで女子更衣室に入り、着替えようとする時、女子更衣室のドアの開く音がした。
その足音は、とてもゆっくりで、足をケガしている人が歩いてるのかと思うほどだった。
しかし、だいたい予想はついた。
私と朱莉が教室を出るとき、中にいたのは、アイツ。
アイツは、もちろん晴香のこと。

「あ！」
階段を上り終えた晴香はまだ私たちが着替えていた事にもの凄く驚いているようだった。
「は？何驚いちゃってんの？」
「あ、分かった！すげーゆっくり歩いたのに、まだ着替えてたーみたいな？」
「・・・違うから」
私と朱莉は、同時に頭の中の細い糸が、プチンと切れた。