意地悪な集団

それに気づいたらしく、末明がコクンと頷いた。
「え、どうしたの?噂って何?」
その意味が分からなかったので、聞いてみた。
「ううん。何でもないって」

「さっきの何?テレパシー送ってたじゃん!」
「だから・・・とくに理由もないよ」
「隠し事してんの?」
朱莉に問い詰める。
「し、してないし!」
「何キレてんの?言えないんだー。ふーん」
そう言い、朱莉を鋭く睨みつけた。

それを怖がったのか朱莉が話し出した。
「ごめん。けっこう前からなんだけど・・・晴香の好きな人のこと、噂で聞いたんだよね」
「え、誰だれ?何でそんなこと隠してるの?別に言ってもいいのに!普通に教えてくれればよかったじゃん!誰なの?ちょうどいい機会だし、教えてよ」

「本当に聞くの?これ言っても私のせいじゃないからね?」
「朱莉、関係ないじゃん、誰なの~?」
朱莉が近寄り、耳元で小さく呟いた。

「・・・・・・和也」
「はぁ?まさかー」
そんなのありえないよ。
晴香は、私が和也のこと好きだと言うのを知っている。
知っているのに・・・
「本当だよ?噂だから・・・聞き流せばいいんだけど。でも・・・本気だって」

「・・・嘘。ふざけてる。ざけんじゃねーよ・・・」
小声で力強くそう言った。