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「どういうことなんですか、先輩」
「意味分かんねぇんだけど」
放課後、先輩に事情を聞くために急いで3年生の教室に来た私。
昨日はため息なんかつかなかったくせに、今日は私を見たとたんため息ついてた。ひどい。
「小春に隠し事は通じませんよ。今日の夜何しに行くんですか!」
「……うわー」
顔をしかめて小さくそう言う。
「盗み聞き」
「たまたま聞こえてきたんです!」
先輩の机をバンっと叩くと「うるさい」って言うし。
もう、冷たいですよ、先輩!
「昨日の、ココアにハチミツと砂糖をたくさん入れたようなあの甘い時間を忘れたんですか!?」
「忘れた」
「えっ」

