すかさず教室の扉から顔を覗かせる私。
「……高広先輩?」
柚木のため息混じりの言葉にコクリと頷く。
そうだよ、今のは絶対先輩の声!
私が間違えるはずないからね!
「……あ!」
キョロキョロと探すと、黒いカーディガン姿でスマホを耳に当ててる先輩を見つけた。
多分教室移動をしてこの階に来たんだろうなぁ。
2年の階には生物室があるからね。
「あ、本当にいるし……。耳良すぎでしょ」
「えへへ、先輩限定だよ」
「照れないでよ、気持ち悪いなぁ」
……うん。どうして私の周りの人って私の扱いがちょっと雑なんだろう。
って、今はそんなことより先輩に声をかけなければ!