《……悪い、今日もう寝る》

「えっ?ま、まだ電話して5分も経ってないですけど……」

《ん、本当ごめん》




春の夜風が心地よく感じられる4月。

ベッドの上でプツッと電話が切れたスマホを、私はムスッとしながら見た。


……いやまぁ、ね。

先輩は大学生になったわけだし、課題とかに追われて毎日忙しいのは分かってる。


分かってるのだけれど。



『今日帰るの遅いから電話出来ないかも』



週に1回の貴重な電話の時間も、最近は断られることが多くなったし、



『あー……っと、今月は空いてる日ないんだよな』



デートに誘っても先輩の返事はこんなもの。



忙しいのは分かる。分かってる。

だけど、どうしても疑ってしまう。