持っていたプリントたちが宙を舞う。
先輩が慌てたように腕を伸ばしたのが視界の端で見えた。
ぎゅっと目をつぶる。
でも、いつまでたっても体に衝撃なんかはこなくて。
代わりに、石けんのいい匂いがふわりと香った。
「……おい、小春、」
その声に、ゆっくりとまぶたを開くと、目の前に先輩の顔があって。
先輩が、下敷きになってくれたんだ……。
「先輩っ、大丈夫ですか!?ケガとかしてないっ?」
仰向けになって私をかばってくれた先輩の顔を覗き込む。
「……お前は?」
「先輩のおかげで無傷ですよっ!!」
「そう……」
片腕で目元を覆って、良かった、なんて安心したように言うから。
泣きそうになる。