抱きしめられた時、キスをされた時、本当はクラクラした。
息の仕方を忘れそうになるぐらい、私は先輩でいっぱいだった。
『高広も、好きな子に嫌われるのが怖いのかな』
先輩に好きな人がいると知った時、胸が締め付けられた。
「……っ、」
ギュッと手のひらを握りしめる。
それから私は立ち上がった。
もう夕日は沈みかけていた。
急いでスマホのメッセージアプリを開く。
⦅話したいことがあるの⦆
それだけ送って、スマホをブレザーのポケットにしまう。
電車に乗って、目的の駅で降りて、
……睦月の家の前に着いたのは、あたりが真っ暗になった頃だった。

