睦月に左手の指をそっと触れられて、ぴくっと肩が上がった。





…なるみさんと一緒にいる時の先輩は、楽しそうで、幸せそうだった。


そりゃそうだよね。だって初恋の人なんだもん。



私、先輩に簡単に触れることが出来て、隣にいても違和感なんかなくて、
誰よりも先輩の近くにいられる、なるみさんが羨ましい。


でも、今日、あの2人のことを見て、改めて実感した。


私のこの気持ちが報われることはないって。






「利用されてもいいぐらい、俺は小春のことが好き」





『お前が誰と一緒にいようが俺には関係ないし。お前の自由だろ』





…あぁ、もう、嫌だ。


私、もう傷つきたくない。

この気持ち、忘れたい。




「…して」