廊下を早足で歩いていく睦月に、口をパクパクとさせる。


着いた先は使われていい空き教室。





「ちょっと睦月っ、アンタなに考えて……」
「お前にとって、」





私の言葉をさえぎって、小さくそう言った睦月。


真っ直ぐに私を見る睦月の真剣な表情に、私は言葉を詰まらせた。




「お前にとって関係ないことでも、俺にはあるんだけど」




掴んでいた手首を離し、私から顔を逸らす。

そんな睦月はこう続けた。





「……好きな奴が泣きそうになってるの見てほっといてられるか、バカ」




「っ、な……」





"好きな奴"、それは紛れもなく私のことで。


それを自覚した私は、かぁぁっと顔を赤らめた。