曖昧だよ、睦月くん。
心の中でため息をついた。
柚木の最寄り駅は、映画館や図書館、ショッピングモールがあってかなりさかえてる。
今日は休日ってこともあって人が多い。
仲良く手を繋いで歩いてるカップルなんかたくさんいる。
そんな人達とすれ違いながら駅へと向かう私は、ふと立ち止まった。
……あれって……。
あの後ろ姿、私知ってる。
見間違えるはずないよ。だって、いつも目で追ってたもん。
「高広先輩?」
声をかけようとして、やめた。
先輩の隣には、なるみさんがいたから。
幼なじみ同士だし、休日に出かけるのはおかしくないかもしれない。

