「……おい」




睦月の低い声にビクッと肩が上がった。


し、しまった……。

うるさくしすぎた、なんて反省する。





「いま、」


「え?」





その声に下げていた視線をあげると、睦月は少し悲しそうな顔をしていて。





「今、お前の目の前にいるのは、俺だろうが」


「む、睦月?」





ねぇ、私って、知らない間に睦月のこと傷つけてる?

だからそんな顔をするの?






「……俺といる時に、アイツのこと考えてんじゃねぇよ」






小さく掠れた声。


睦月は私の左手に手を重ねて、ギュッとそれを包み込んだ。



ビックリして彼を見る。






「なぁ、頼むから、俺のことも見て……」