「あ……」





『……勉強ぐらい俺が教えてやるし』

こう言ってくれた睦月に甘えて、放課後図書室で勉強する約束をさっきの休み時間中にした。





「お前来るのおせーから、迎えに来てやったけど」


「うぐ……ごめんって。ありがとう」





立ち上がった私は、チラッと先輩を見た。


先輩には甘えられない、とか考えておきながら、
こうやって放課後話に行くなんて。


矛盾してるよね、私。





「あの、私行きますね!!」


「……おー」





何か言いたそうな先輩に背中を向けて教室を出ようとする。


ブーッブーッと、着信を知らせる音が鳴った。

私のじゃないから、きっと先輩の。




……なるみさん、かな。