「……どーせ、アイツのことで悩んでるとかだろ」
「うぐぐ……」
睦月のいう"アイツ"っていうのは、きっと高広先輩のことだ。
全くその通りで、返す言葉が見つからない。
私ってそんなに顔に出やすい?
「……合コンで会ったサバサバ系美女がね」
「アイツの幼なじみだろ。名前言えや」
「なるみさんね、先輩の初恋相手だったんだって」
「ふーん……」
「まだなるみさんのこと好きですか?って聞いたら、はぐらかされちゃった」
否定、しなかったもん。
俯いた瞬間、館内の薄オレンジ色に光っていたライトが段々と消えていった。
映画が始まる合図だ。
「お前は、そうやってうじうじ悩むタイプじゃねぇじゃん」
「え?」

