陽平に聞こえないか緊張が高まる。


彼氏と別れて一年は経っていた。


この近距離の触れ合いはヤバイ。


ドキドキが半端なく私に襲い掛かっていた。



「莉乃、もぞもぞ動かないで。」


「ごめん。」



なんでか誤ってしまっていた。


抱きしめる腕に力が込められて引き寄せられる。


陽平の吐息が首に掛かる。


心臓が激しく高鳴る。



「ふふっ、莉乃、緊張してる?」


「…………。」


「俺も。」


「なら離れて。」


「嫌だ。やっと手に入れたんだから。莉乃、大好きだよ。」



陽平の声が耳元で聞こえる。


優しい声色に私の鼓動も高鳴る。


直ぐに陽平の寝息が聞こえ始めた。


体が温まって眠くなったのだろうか。



「陽平?」


「…………。」



返事はなかった。


私も陽平の寝息に誘われるように深い眠りに落ちていった。