「大樹の気持ちが分からない。本気なのか、本気じゃないのか。」



そんな言葉が呟かれていた。


あの頃の私達は本気だったのかな?



「私は本当に好きだった。だから大樹の裏切りを忘れられないんだよ。」


「俺も好きだった。ただ友達の延長で付き合ったから、『ライク』なのか『ラブ』なのか分からなくなっていたのも事実。」


「多分『ライク』だったんだよ。」


「それって双葉さんと比べてる?」


「かもね。」



並んで歩きながら、そんな会話をしていた。


私達は本気だったかもしれない。


だけど、陽平との恋愛に比べたら離れているのも平気だった。


寂しくて恋に悩む事なんてなかった。


いつも一緒にいるのが当たり前になったのは…………陽平が初めてだ。



「莉乃、イタ飯好きだったよな?ここに入るか?」


「うん。」



イタリアンの店だ。


大樹とも通っていたのを思い出す。