大樹が私と陽平に背を向けて同期の輪に戻っていく。



「大樹、フラれたか。朝まで付き合ってやるって。」


「嬉しそうだな。」


「お前がフラれるなんてレア過ぎだろ。」



茶化される大樹を見つめた。



「片桐、またな。」


「うん、ごめんね。」


「片桐、今度彼氏の友達を紹介してよ。」



川井の言葉に苦笑いした。


ここに陽平の友達はいるだろうに。


二次会に向かう同期を見送る。



「陽平、結婚するのか?」


「ああ、呼んでやるよ、結婚式。」


「お前が結婚を口にするなんて。」



驚く友達を見渡す。


陽平と同級生だろうか。



「俺の彼女の莉乃。莉乃、コイツらは幼馴染み。」


「はじめまして。片桐莉乃です。」



陽平の友達に初めて挨拶した。


陽平が私の手を繋いで歩き始めた。



「俺ら、帰るから。」


「またな、陽平。また合コンするぞ。」


「行かない。ってか楽しむな。」


「この前の修羅場は良かったよ、陽平と莉乃さん。」



その言葉に固まる。


間違いなく勘違いしたバーの事だ。



「またね、陽平、莉乃さん。」



恥ずかし過ぎる。



「莉乃、帰るよ。」



マイペースな陽平に連れられて、陽平のマンションに一緒に帰らされた。


当たり前のように私達は週末を一緒に過ごした。