背後に立っていた陽平が戻っていく足音が聞こえる。


鞄の中の携帯が鳴る音にびくりとした。


陽平の視線が突き刺さる。



「莉乃、出れば？」


「あっ、うん。」



鞄から急いで携帯を取り出して発信者を見るが登録されていない番号だ。


出ないでいると留守電に切り替わった。



「誰？」


「知らない番号だった。」


「見せて？俺が留守電を聞くよ。」


「いい。たぶん間違いでしょ。」



携帯を鞄へと戻す。


何事もなかったかのように夜ご飯を作り始めた。


でも陽平は気になっているみたいで私へと近づいてくる。



「莉乃、俺に隠し事してる？」


「はっ？別にしてない。」


「何で電話に出ないの？」


「知らない番号だって言ったでしょ。」


「携帯を貸して。」



陽平が手を出してくる。


いつもの陽平と明らかに雰囲気が違う。



「莉乃、俺に隠し事をしてないって証拠を見せて。」



少し陽平を怖いと思った。


何故そんな事を言うのか。