私の頬に手を伸ばした陽平が私の頬を撫で始める。


真剣な表情の陽平に口を挟むのは止める。



「ずっとこうやって触れたかった。」


「…………。」


「俺が引っ越したのは莉乃に会いたくて。一緒の駅なら毎朝会えるし。」


「…………陽平、ヤバくない?」


「ははっ、かもな。」



真剣な表情が崩れ、顔に笑みを浮かべる陽平は完全に苦笑いだ。


自分でもヤバい奴だって自覚があるのか?



「毎朝莉乃の隣に座った。気づいてた?」


「ごめん、あまり気にしてなかったから。」


「だろうね。いつも寝てたから。」



そんなに寝てたか?


いや寝てたかも。


初めて聞く陽平の告白に驚いたが嫌悪感は全く湧かなかった。


きっと私が陽平を好きだからだ。


陽平はきっと計算していた。


私が好きになってから話そうと決めていたに違いない。


でないと嫌悪される可能性もあるからだ。