黙る陽平に一気に喋り立てる。


黙って私の話を聞く陽平から視線を逸らして背中を向けた。


何も言わない陽平に大きな溜め息を吐いた。


だって陽平は……私の気持ちなんて分かってくれてない。



「陽平は私の気持ちが離れていかないって自信があるんだね。」


「…………。」


「それって過去の経験から?フラれた事なんてないでしょ。」


「…………。」



何も言わない陽平には図星だったんだろう。


容姿も家柄も良い、その上、会社でも部長まで昇進している。


そんな男と私では気持ちなんて分かり合えない。



「ごめん、帰る。陽平には陽平に相応しい人がきっと別にいる。それは私にとっても。」


「…………るな。」



背を向けたまま踏み出そうとした瞬間、今まで無言だった陽平から小さな呟きが聞こえた気がした。


それでも少し頭を冷やしたかった私は一歩踏み出した。


少し大人気なかったかもしれないと心の中で反省していた。