ゆ...雪だ...。

手が痛くなるほど空気が張り詰めているほど寒い外でぼーっと立っている。

学校帰りだけど今は、靴箱の所で立ち止まっている。

雪はだんだんと強くなってきて止む様子が一向に無い。

「...。ど、どうしよう。」

小降りにならない。

小降りになったら帰ろうって思っていたけど...。

走って帰ると滑りそう。

いつ止むか分からないのが大変。

だからといって今、帰ると肩が濡れちゃうなー。

「仕方ないな。遅くなってもいいから小降りになるのを待つかぁ」

結局待つことにした。

冬だし、空が暗くなってくるのが早くなっているから心配。

先生に居残りさせられたり、手伝わされたり色々させられて...。

いつの間にか雪が降ってた。

だから、遅い時間。

誰かに傘を貸してもらってもいいんだけどこんなに遅い時間、誰も残っているわけが無い。

「おい。」

「?!?!?!」

突然話しかけられて、声にならない叫びを上げた。

「何をそんなに驚いてんだよ。」

「突然話しかけないで下さい...って!」

「なんだよ。話しかけたら悪いかよ」

そこに立っていたのは同じクラスの将晃(まさあき)。

「ま、将晃!なんでいるの?!」

「いたら悪いかよ」

将晃っていっつも帰るのが早い気がする。

気づいた時にはもういない時が多い。

だから、帰るのが遅い時があるのはとっても珍しい。

「珍しいね、将晃がこんな時間まで残ってるの」

「必ず早く帰れるわけじゃねぇからな」

「確かに...。」

私ってバカなのかな?(笑)

でも、あんなに帰るのが早い将晃が残ってるのは不思議だった。

「で、お前なんで残ってんだよ。部活ないのか?」

「今日は休み。先生に居残りさせられたり、手伝わされたりと色々させられてね」

正直、なぜ私なのか分からなかった。

他にも教室にはたくさんのクラスメイトがいたはずなんだけど...。

「ドンマイだな。」

「そーいや、将晃は?珍しいし、なんで残ってるの?」

「呼び出しだ。」

よ、呼び出し?

「誰から?先生?」

「ちげーよ、女子だよ。女子」

将晃はクラスにいる時は面白くてうるさいけど、気に入ったり、認めていたりする人には素っ気ない。

口調も違っている。

じゃあ、私は認めていたり、気に入ったりしてくれてるってことなのかなぁ?

「将晃モテモテじゃん!やるな〜」

「それ以上言ったらみぞ落ちする。」

「ご、ごめん!そ、それだけは...。」

性格も違っていて初めてこの態度をとられた時は嫌われたのかと思ったけど、頻繁に話しかけてくるから違うと思えた。

「で?オッケーしたの?」

「顔、髪型が好みじゃない。性格が無理、スタイルも好きじゃない。」

「あ、あんた、どんだけ完璧を求めてるの」

「頭は完璧じゃなくていい。」

将晃は結構モテモテで1年に何度か告白されているが、全て断っているらしい。

別に今まで告白してきた子は可愛いと思うけど...。

今まで告白してきた子は全員クラスの中だけの将晃しか知らないから告白をしているのだと思う。

「あ、頭(笑)完璧じゃなくていいんだ」

「完璧だと色々とめんどくさい。」

「そ、そうか。」

おかしな所もあるなぁ...。

「そーいや、お前なんで帰らないんだよ」

「そ、それは...。」

「?」

「傘を忘れちゃってこの雪の中走ると転ぶし、歩くと肩が濡れちゃうなーと思って小降りになるのを待っていたけど全然小降りにならないから困ってた。」

「ちなみに今日、小降りになることはない。むしろ強くなる」

「え...。」

ど、どうしよう!止まないなんて聞いてない!(止むってことも聞いてないけど)どうしたらいい?!

「ふふふっ」

「な、何がおかしいのよ!こっちは本気で困ってるんですー!」

「その困ってる顔」

「ひど!」

ひどい、ひどい!

「ど、どーしよう。」

「しゃーねな、ほら貸してやる。俺はもう一本ある」

「で、でも返さないといけないじゃん。」

そんな事してたら絶対クラスの子に付き合ってるって勘違いされる...。

「だから、家まで送ってやる。だから、その時に返せばいいだろ。」

「お、送る?!」

「それとも、走って帰るか?」

「やっぱり貸して!」

走って帰るのはやだ!

絶対濡れる!

「ほら、早く帰るぞ。寒い」

「うん!」

って事で道には傘が2つ並んでいる。



ここから会話が多いです



「ありがとう。傘、貸してくれて。」

「おう。」

「ねぇ、将晃。」

「そーいや、クラスの中では面白いフリしてるけど、私には素っ気ない態度とってるのって、認めてくれたり、気に入ってくれたりしたから?」

「急にどうした(笑)まあ、そうじゃねえか?どう思うかは優花次第だな。」

「よ、呼び捨て!?」

「お前だって呼び捨てじゃん」

「あ、確かに...。」

「バカ?」

「ば!バカじゃな...い...?」

「俺に聞くな。知らん」

「ねぇ、私を気に入ってくれたり、認めてくれたりしてくれてるなら、ありがとう。私、小学生の頃いじめられてたから認めてくれたり気に入ってくれたりするのが嬉しいの。」

「...。そうか。大変だったな。」

そう言って私の頭に手を置いて撫でてきた将晃。

「!?」

「ところでだけど、告白を断るのってあの理由だけじゃなさそうなのは、私だけ?」

「急にだな。さぁ、どうだろうな。読み取ってみたら?(笑)」

「うーん...。分からない」