今は昼休憩。
夏にセミが一斉に声を出すように授業が終わったとたんに、私達も個人個人自由に動き出し、話始める。

私の周りにも仲のいいヒヨちゃんと沙蘭ちゃんが集まってくる。
最近の私達の会話のテーマのほとんどが「恋愛」について。
特に私達の中でも一番女の子らしいヒヨちゃんは学年の中でも1、2番を争うイケメン?(私はよく分かんないんだけど...)の水原君のことが好きで、あと数週間に迫る体育祭で水原君に告白しようかどうかを3人であれこれ話しているところ。
早速、姉御肌の沙蘭ちゃんがヒヨちゃんに言う。

「で、さっきの会話の続きだけど、ヒヨどうするの?」

「どうしようかな。何かね、1組の美奏ちゃんも告白するらしいの。だから、どんどん自信無くしちゃって。」

「だからこそ、水原取られちゃう前に思い伝えなきゃ‼」

「そうだよね。私、頑張って言ってみるね。2人とも相談のってくれてありがとう!」

「いいよいいよ。ヒヨ頑張ってね!!」

「うん。そういえば2人って好きな人いるの?2人の恋愛の話って聞いたことないよね。」

「私はまだいないよ。」

「凛梨ちゃんは?」

「いないよ。」と私も答えようとしたのに言葉に詰まったのは、ふとある男の子のが浮かんだから。

奥村灯斗。
私の初恋の人。
小学5年生の夏休み、私達は出会った。

元々男の子が苦手だった。
だって男の子ってイジワルしてくるし、怖いし。
話しかけられても何を話したらいいか分からなくて、結局黙っちゃって変な目で見てくるし。

だけど灯斗は全然違った。
いつも私の事を笑顔にしてくれて私はいつの間にか恋してた。

そんな灯斗に恋したのはいつだったかな。