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「……！……り！……百合、起きろ！」


優しい低音の声でゆっくりと目を覚ます。

「……ふぁ～、んーおはよ」


起こしてくれた彼に欠伸しながら挨拶をする。


「はよ。珍しいな百合がうたた寝なんて」

彼……金森翔（カナモリカケル）は優しく微笑みながら問い掛けてくる。

確かに私がうたた寝をしたのはこれが初めてかもしれない。


「そうね～初めてだわ。んーそれにしても懐かしい夢をみたな～」

「懐かしい夢？どんな夢みたんだ？」

私……橘百合（タチバナユリ）と双子の妹……橘茉莉（タチバナマリ）が初めて翔に出会ったあの日の夢を見た。


「翔と初めて出会った日の事を夢でみたのよ」

「俺と百合達が出会った日？……あぁあのショッピングモールに行った時か。まさかあの事件の後再会するなんて思わなかったよな！」

彼は静かに笑いながらあの日を思い出すように遠くを見る。