ざわざわと賑わう人混みの中、きょうちゃんだけがクラスを確認しに行った。私はこの人混みの中に突撃する勇気はない。
「きょうちゃん背が高いから目立つなぁ...」
私だって決して背が低いわけではない。きょうちゃんが高いのだ。頭1コ分とまではいかないが、どこにいるかがすぐに分かる。
数分も待てば人を掻き分けてきょうちゃんが戻ってきた。
「ただいま〜」
「おかえり。どうだった?」
「僕は1組だったよ。せいちゃんは6組。離れちゃったね」
「やっぱりきょうちゃんは特進クラスか」
私達の通う学校は全学年6クラス構成になっている。2年生からは文理で分かれ、1組から3組は文系。4組から6組は理系となっている。それぞれに特進クラスが設けられ、1組と4組がそれに値する。
「というかさ...離れちゃったも何も、きょうちゃん文系でしょ?私は理系なんだから離れて当たり前」
「隣のクラスとかが良かった!」
「子供みたいな事言わないでよ。これじゃ兄じゃなくて弟みたいだよ」
「そんな数分しか変わんないんだからいいじゃん」
「それはそうだけど...」
小さな子のように不貞腐れているきょうちゃんを宥めていると、私を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、静華〜!」
「麗央!」
「どこにいるかと思って探したよ。あ、響も一緒だったのか。兄妹仲が良いね」
腰あたりまである長い髪を風に靡かせながらお得意の愛想笑いを繰り出す親友、麗央。
隣に立つきょうちゃんも負けじと愛想笑い。この2人、何故か仲が悪い。
「麗央ちゃん、おはよ。僕達、隣のクラスなんだ。よろしく」
「そう、でも隣のクラスならそんなによろしくする必要はないと思うよ」
「それもそうだけど、せいちゃんの親友とは僕も仲良くなりたいなって思ってね」
「それは奇遇ね。私も静華の兄とは仲良くなりたかったの」
見えない火花が飛び交っている。一体何が2人の仲を悪くしたのかは分からない。きっと性格やらなんやらが合わなかったのだろう。よくある話だし。
「先、教室行くね」
肩から落ちかけていたリュックを背負い直して、2人に背を向けた。険悪な雰囲気から早く逃げたいというのが本音だ。
そそくさと靴を履き替え、2年生の教室のある2階へ向かう。階段を上り終え、右へ曲がろうとした瞬間、誰かにぶつかった。
「っと...すんません」
「いえ、こちらこそ...」
少し低い男子の声。顔は見えなかったけど、ちらりと金色が見えた。思わずぶつかった相手を見上げると金色の混ざった茶色の髪。
.....染めてる?
驚きで固まった私を見て男子は軽く頭を下げ、1階へ降りていった。
「...あんな生徒、見た事あったかな」
「きょうちゃん背が高いから目立つなぁ...」
私だって決して背が低いわけではない。きょうちゃんが高いのだ。頭1コ分とまではいかないが、どこにいるかがすぐに分かる。
数分も待てば人を掻き分けてきょうちゃんが戻ってきた。
「ただいま〜」
「おかえり。どうだった?」
「僕は1組だったよ。せいちゃんは6組。離れちゃったね」
「やっぱりきょうちゃんは特進クラスか」
私達の通う学校は全学年6クラス構成になっている。2年生からは文理で分かれ、1組から3組は文系。4組から6組は理系となっている。それぞれに特進クラスが設けられ、1組と4組がそれに値する。
「というかさ...離れちゃったも何も、きょうちゃん文系でしょ?私は理系なんだから離れて当たり前」
「隣のクラスとかが良かった!」
「子供みたいな事言わないでよ。これじゃ兄じゃなくて弟みたいだよ」
「そんな数分しか変わんないんだからいいじゃん」
「それはそうだけど...」
小さな子のように不貞腐れているきょうちゃんを宥めていると、私を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、静華〜!」
「麗央!」
「どこにいるかと思って探したよ。あ、響も一緒だったのか。兄妹仲が良いね」
腰あたりまである長い髪を風に靡かせながらお得意の愛想笑いを繰り出す親友、麗央。
隣に立つきょうちゃんも負けじと愛想笑い。この2人、何故か仲が悪い。
「麗央ちゃん、おはよ。僕達、隣のクラスなんだ。よろしく」
「そう、でも隣のクラスならそんなによろしくする必要はないと思うよ」
「それもそうだけど、せいちゃんの親友とは僕も仲良くなりたいなって思ってね」
「それは奇遇ね。私も静華の兄とは仲良くなりたかったの」
見えない火花が飛び交っている。一体何が2人の仲を悪くしたのかは分からない。きっと性格やらなんやらが合わなかったのだろう。よくある話だし。
「先、教室行くね」
肩から落ちかけていたリュックを背負い直して、2人に背を向けた。険悪な雰囲気から早く逃げたいというのが本音だ。
そそくさと靴を履き替え、2年生の教室のある2階へ向かう。階段を上り終え、右へ曲がろうとした瞬間、誰かにぶつかった。
「っと...すんません」
「いえ、こちらこそ...」
少し低い男子の声。顔は見えなかったけど、ちらりと金色が見えた。思わずぶつかった相手を見上げると金色の混ざった茶色の髪。
.....染めてる?
驚きで固まった私を見て男子は軽く頭を下げ、1階へ降りていった。
「...あんな生徒、見た事あったかな」
