ひらりと桜が舞った。憂鬱な私の心とは裏腹に呑気なものだと思った。


「せーいちゃん。朝からご機嫌ナナメ?」


隣を歩く双子の兄、きょうちゃんが私の肩を叩きながら楽しそうに聞いてきた。


「きょうちゃん...見て分からない?あんたと違って私は今、最高に機嫌が悪いの」

「せいちゃんはいつもそうだよね。今日はクラス替えだよ?高校2年生の春で初めてのクラス替え!テンション上がらないと損だよ?」

「きょうちゃんはいいよね、お気楽そうで」


双子とはいえ、私ときょうちゃんは高校生の男女。成長期にズレがあり、身長差は約20cmある。それ故にいつも私がきょうちゃんを見上げる状態になる。


「頭もいいし、運動も出来るしさ。いっつもクラスの人気者じゃん」

「羨ましい?」

「バッカじゃないの。そういう事言うんなら先に行くからね」

「それだけは勘弁してよ〜。せいちゃん可愛いんだから1人で行かせたら危ないし」

「あのさぁ...私達は双子なの。顔だって似てるの。か、可愛いとか...それ、ブーメランだからね」

「そうかな?あ、でも先に行くのはナシだから!」

「分かった分かった」


何だかんだ言っても私はきょうちゃんと登校を共にする。話していると時間はあっという間に過ぎていく。気づけば人で賑わう校舎が見えてきた。