時間はあっという間に過ぎ、結局私は優奈に半ば強引に連れられ待ち合わせ場所に来ていた。


優奈曰く、今日の合コン相手は以前合コンで親しくなった男友達の紹介らしく、優奈もどういう人が来るのかは知らないらしい。


「待ち合わせ場所ってここだよね?」

「た、多分……」

「すごいお洒落なカフェだね~」


緊張気味の私とは正反対に、優奈は案内された席に座ると興味深々といった様子で店内を見回している。


「ねえ、合コン相手っていつ来るの?」

「うーん……今さっき仕事が終わって急いで向かってるって連絡が来たからもうすぐじゃない?」


優奈はそう言ってスマホのメール画面を私に見せる。


「そっか」


私がそう呟いたその時、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。


「遅れて申し訳ありません」


そう言って現れた男性は、ニコリと優しく微笑む。


「えっと、森下さんと高梨さんですか?」

「はい!」

「初めまして、柏木皐月と申します」


彼は丁寧にそう言うと、腕時計を見て小さくため息を溢す。


「もう少しすれば、俺の相方が来ると思うんですけど……。一緒に来る予定だったんですが、仕事が終わる時間が合わず俺一人先に来てしまいました……。でも、アイツもそろそろ来るはずです」


柏木さんがそう呟いた瞬間、


「……遅れてすみません!」


慌てた様子でやって来た彼の姿を見て、私は固まる。


……え?
なんで、アイツが此処にいるの?


「伊織、遅刻だな」

「遅れてすみません。えっと、桐島伊織です」


そう言った彼と目が合った瞬間、この場から何度逃げたいと思ったことか。