私、市川心優、16歳。

普通になりたい、いつもそう願っている。無理だけど、


入学式の日にこんなブルーになるなんてね、


それにしても、綺麗な桜。



ヒュ~ヒュ~。



「あの、ついてますよ。桜が」



「あ、ありがとうございます!」



「いいえ〜!この桜、綺麗ですね。」


「あ、そうですね」



「うんうん!ねー名前は??」




「市川心優です。」



「みうちゃんか、漢字は?」





え、そこまで聞く?おかしなひと。






「おーい、みうちゃーん!」





「あ、はい。心に優しいです。」




「いい字だね!
心優ちゃんの親はいい名前をプレゼントしてくれたね!」




「あ、はい、そうですね。」



そんなことない。そんなことなんか、


絶対ない。どうせ適当につけた名前だよ。



あんなやつらの事だから。





「あの、入学式始まるんで行ってもいいですか?」