「もう、美夏!あんた何時だと思ってんの!?いい加減起きなさい」


ノックもせずドアを開けて来たのは、ママ。


「起きてるんだけど、あと勝手にドア開けないでって何回言ったら分かるの?」

「はいはい、わかりましたよ。ママもう仕事行くから、学校遅れずに行くのよ」

「うるさいな。わかってるよ」


階段を降りていく音がしママに邪魔されたメイクの続きをする。


自分でもわかってる。
私は今、反抗期真っ只中だ。


中学生の時は、友達が親を嫌う理由が分からなかった。
でも、今はわかる。
なんかうざいし、しつこいし、うるさい。
それが、親なんだって頭ではわかってる。
女で一つでここまで私を育ててくれたママにはいつも、ありがたいと思ってはいる。
思ってはいるけど、口にできない。
したくない。

そんなことを思っていたら、メイクが終わった。

新しい制服に着替えて、準備をし一階に降りた。


リビングには、私の天敵。お兄ちゃんがソファーに横になりながら、ゲームをしている。
私は無言で、キッチンに行きママが焼いてくれたであろう、、ホットケーキを準備した。

「あれー、なんで制服なんか着てんの?」

はい、きたぁぁぁー。
別によくね??
お前に関係なくね????
行ったとこで何なる??????
お前みたいな楽な大学生とはちげーんだよ!!
話しかけてくんなインキャ。

とでもいってやりたい。でも、我慢だ私!!


「聞こえてんの??あ、もしかしてもしかすると、今日って入学式とかいうやつ??」

お前わかってるなら、心にしまっておけよ。
いちいち、声に出すなインキャ。

「無視はよくないよね、みぃーちゃん!」

「お前さ、まじキモイから。わかってるなら別に声に出さなくていいよね?喋りたかったとかきもい答えは求めてませんので。あと、そのみぃーちゃんって呼ぶのキモイやめて。次言ったら、熱湯かけるよ」


溜まっていたものがでてしまった。

「みぃー。。美夏さ、今日なんで化粧いつもと違うの??」

あぁーホントきもい。

「みぃーちゃんは、今日入学式なんだぁ」
「美夏子さん、今日仕事だから一人で行くの?」
「答えがわかってる質問はなんでするのかなーーー」


兄は、いわゆるシスコン。
6歳も離れていれば、わからなくもないが。
それにしても異常すぎて、めんどくさい。


「俺が、お兄ちゃんが美夏の入学式ついて行く!」
やつは、ニコニコしながら言い放った。

だと思った。

「いえ、結構です。」
「よぉーし、スーツに着替えよーー。ネクタイどぉーこやったけなー」


聞こえてなかったのかなってぐらいに、ガン無視されてしまった。

そして、ニコニコしながら、奴が支度を始めた。

「あと、10分で終わらなかったら私一人で行くからね」


5分経過・・・・

「スーツ出しといてよかったぁー」

2階から奴が独り言をいっている。

「できた。完璧」

奴がそう言いながら、どどどどっと階段から駆け下りてきた。

「みぃーちゃん、お待たせ!終わったよ!」

こいつ、昨日から準備してたんじゃないかってぐらいに完璧。

「よぉーし、行くぞ!」