[前回までのあらすじ]

大学生になれた夏だったが

とある事件に遭遇し、謎の手紙を拾う

本当に謎だったので友人に相談

その後の物語である…


〜手紙を拾ってから数日後、とある日曜〜

『なぁ雪、ゲームセンターに一緒に行かないか?』


『夏兄と一緒に?無理無理…オタク兄弟とか誰得』


兄の遊びの誘いを冷たく断る弟
その表情は鬼のように青く…


『夏兄、声出てる出てる(笑)』


『どうせなら状況わかった方がいいだろ?』


『誰に向けてだよ…』


兄の独り言がナレーションみたいなのは
昔っからだが、意識してないところが
怖いところでもある。


『ところで夏兄?ニュース見た?』


『弟よ、もちろん見ている』


『お、おう』
(最近より一層絡みがすごいな…)


『村1つごと人が消えたって話だろ?』


『夏兄はどう思う?不思議じゃない?』


『そうだなぁ、政府の陰謀とか考えられるな』


『いや、それは極端じゃないの?』


『雪は夢がないなぁ、もっとこう考えて楽しまないと人生長いんだし』


『もうちょい現実的な考えはないのですか(ニッコリ)』


弟に作り笑顔で返される兄の心はズタボロにされ
考えるのをやめた…


『まぁ…とりあえず俺は一人でゲーセン行ってくるわ…雪留守番よろしく…』


『了解〜、夏兄楽しんで〜』


涙を流しながら家を後にした。

一方その頃山城家の方では…

『うーむ、夏の言ってた謎の手紙?メモ?は結局答えが出ないまま数日経ってしまったな』


部屋の中はキーボードの打つ音が
リズミカルに聞こえるだけである


『しかし、《助けて》なんて手紙を持っていたのだろうか、声が出せなかった…あるいは…』


もし、手紙を書いた者が持っていたのではなく
手紙をもらった側が持っていた場合は…


色々考えたが、どっちにしろ
何について助けを求めたなんて
その人自身しかわからないのである…


【午後のニュースです。先週公園で発見された男性の変死体は高宮医療研究センターの松岡 勝さん(64)と判明いたしました。死因は…】


『あいつの研究センターじゃないか…』


山城は背筋に嫌な感覚を覚えた。