「まあそれが絵梨の可愛いところだけど。今からでも間に合うんじゃない?」
「それがどこにも見当たらなくて。もう帰ったのかな」
「え、早くない?」
「そうだ!」

絵梨が何かを思いついたように私のほうをジッと見つめてきた。
何だか嫌な予感がする。

「一沙と先生の家って同じ方向なんでしょ?」
「まあ」
「じゃあ場所も知ってるよね?」
「一応」
「お願い、一沙!これ届けてくれない?」
「ええっ!?」

絵梨がそう言って私の手をギュッと握った。
…嫌な予感的中。
綺麗にラッピングされた赤い箱を押し付けられ思わず後退りする。

「でも自分で渡したほうがいいんじゃないの?」
「それができなかったから頼んでるの。お願い!お礼はするから」
「え~」